誘致からわずか3ヵ月で実現した札幌ロケの舞台裏
上映に先立ち行われたトークセッションでは、ホー・ミウケイ監督に加え、本作の誘致・支援を担った札幌フィルムコミッションのリ・カイ氏、そして札幌での撮影コーディネートを担当したゴールドロケーションの佐藤悠輔氏が登壇し、約2週間にわたる札幌撮影の裏側が語られました。

驚くべきことに、東京での撮影が予定されていた本作が、香港フィルマートでのリ氏の提案をきっかけに、わずか3ヵ月で札幌での撮影を実現したそうです。札幌市映像制作補助金の紹介から、地元事業者とのマッチングまでを一気通貫で行ったという話には、札幌フィルムコミッションの迅速な対応力と、映像制作に対する熱意を感じますね。

撮影エピソードも興味深いものでした。札幌市電の旧型車両を1日貸し切っての撮影は、海外作品への貸し出しとしては異例の長さだったとか。狸小路商店街での夜間撮影では、限られた夏の夜の時間を縫っての撮影に苦労されたようです。また、クライマックスの横断歩道でのダンスシーンが現場で生まれた演出だったという話は、撮影現場のクリエイティブな雰囲気を想像させます。約50名もの市民エキストラが参加したことも、札幌の映像制作に対する協力体制の厚さを物語っていますね。

「香港映画は雪の札幌を撮りに来る。私たちは、太陽を撮りに来た」
上映後のQ&Aでは、ホー・ミウケイ監督が観客からの質問に丁寧に答えられました。札幌市電のシーンについては、当初JRでの撮影も検討されたものの、「二人がゆっくりと向き合うシーンには、市電のゆったりとした時間の流れこそふさわしい」と確信されたそうです。監督の言葉からは、作品の世界観を大切にする思いが伝わってきます。
また、雪景色ではなく「新緑の季節」の札幌を選んだ理由について、「香港映画が札幌を撮るときは、たいてい雪を撮りに来ます。しかし本作では、暖かく、晴れやかな空気感を撮りたかった」とコメントされました。劇中の「フランスのような」花畑のシーンが実は札幌の国営滝野すずらん丘陵公園で撮影されたと明かされた際には、会場から大きな笑いが起こったそうです。私もこのエピソードには思わず笑顔になりました。札幌の風景が、遠くフランスを思わせるほど美しいとは、新たな発見ですよね。
監督は最後に、「札幌で撮影できたのは、神様からのギフトでした。札幌の皆さんの協力なしに本作は成立しませんでした。すべての札幌市民の皆さんに感謝を伝えたい」と、涙ながらに語られたそうです。この言葉を聞くと、私も胸が熱くなる思いがします。映画製作という大きなプロジェクトが、多くの人々の支えと協力によって成り立っていることを改めて感じさせてくれます。

イベント後には、監督や登壇者と来場者全員での記念撮影が行われ、監督からは香港公開時のポスターがプレゼントされたとのこと。このポスターは、札幌市電の車内で撮影された場面を捉えたビジュアルで、まさに「札幌が生んだ一枚」と言えるでしょう。
公開に向けて:札幌でのプロモーションが加速
『ラブ・ライズ』の公開に向けた札幌でのプロモーションは、今後さらに加速していく予定です。7月末からは、札幌市営地下鉄24駅25ヵ所の構内で札幌フィルムコミッションとのタイアップポスターが一斉掲出されます。さらに、市内大型サイネージでもタイアップ予告編が放映されるとのこと。

ロケ地となった札幌から、映画を盛り上げていく動きは素晴らしいですね。9月4日(金)の全国公開が今から楽しみです。
作品情報
本作は、第43回香港電影金像奨6部門ノミネート、第61回台湾・金馬奨2部門ノミネートを果たした話題作です。脚本家として15年のキャリアを持つホー・ミウケイ監督の長編デビュー作であり、国際ロマンス詐欺を題材に、52歳の医師と26歳の青年が年齢や格差を軽やかに乗り越える物語が描かれます。かつての香港映画が得意としたロマンティック・コメディの系譜を現代に蘇らせる、魅力的な作品ではないでしょうか。
主演は、香港映画史上、出演作累積興行収入1位を誇る名コメディエンヌ、サンドラ・ン氏。そして、香港で若者から絶大な人気を集める歌手兼俳優のMCチョン・ティンフー氏が務めます。異なる世代の二人が織りなすラブストーリーに、きっと私たちも引き込まれることでしょう。
ストーリー
26歳のジョーは定職に就けず、高収入のアルバイトとして詐欺の世界へ足を踏み入れます。彼は「55歳・フランス人石油エンジニア・アラン」という役を与えられ、マッチングアプリで52歳の産婦人科医ベロニカに接触します。ベロニカはアプリには「25歳・香港人看護師」として登録し、外国人との恋愛を夢見ていました。離婚協議中に夫を亡くし空虚な日々を送っていた彼女は、”アラン”とのやり取りにのめり込み、送金を重ねていきます。正体を伏せたまま信頼を築くうちに、ジョーはベロニカに罪悪感を覚え始めます。やがてジョーは、ベロニカの過去の札幌旅行のSNS投稿を目にし、彼女を札幌へと誘い出すのですが――。
作品情報
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タイトル:『ラブ・ライズ』(原題:我談的那場戀愛/英題:Love Lies)
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出演:サンドラ・ン、MCチョン・ティンフー、ステフィー・タン、チャン・ファイホン、エモーション・チョン
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監督・脚本:ホー・ミウケイ
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プロデューサー・脚本:チャン・ヒンガー
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プロデューサー:ジャネット・チョン
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2024年|香港|広東語・英語・フランス語・日本語|114分|カラー|シネマスコープ|5.1ch
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映倫区分:G
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日本語字幕:最上麻衣子
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配給・宣伝:サロンジャパン
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関連リンク
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『ラブ・ライズ』公式サイト:https://www.love-lies-movie.jp/
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『ラブ・ライズ』公式X:@loveliesJP
9月4日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町ほか 全国順次公開
ロマンス詐欺という現代的なテーマを扱いながら、純粋な感情の揺れ動きを描くこの作品は、私たちに「嘘」と「真実」の狭間にある「愛」について、深く問いかけることでしょう。札幌という美しいロケ地も相まって、きっと心に残る一本になるのではないでしょうか。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。賢作でした。


